一昨日、クソ暑い昼下がりの午後二時から、今夏最後の読み聞かせ公演をやりました。 もっとも野外でやったわけではありません。 100席あるかないかの小劇場で行ったのですが、膝にお子さんを乗せていたお父さん、お母さんも多かったですから、気温に関係のない熱気で盛況でした。 「よい子に読み聞かせ隊」が公演で取り上げる絵本、童話は悲しい場面が含まれているものが半ば以上です。 そういう場面で子供は、他人の傷み、悲しみがよく理解できるようになり、優しさや、寛容さを養うことになります。 絵本のサイン会で、よくこういうお母さんがいます。 「ねえねえ、面白い絵本どれ? はじめから終わりまで楽しくて愉快なものよ。子供に悲しい場面を読み聞かせたくないの」 親心なんでしょうが、偏りのない豊かな感受性は、好き嫌いにとらわれず幅広く読み聞かせをすることで養うことができます。 全世界で読み継がれてきたアンデルセンの童話は、悲しい物語が多いですが、人間として大切なものはなにかを、理屈でなく子供たちに伝える力を持っています。 「寿限無」などの落語の絵本もいいですよ。 僕は事務所で一人になると、寿限無をやって疲れを吹っ飛ばしています。 ところで、この小劇場では何人もの子供が涙を流しましたが、終わって帰るときは、笑った栄、騒いだりして賑やかでした。 こういう子供がすばらしい! 世間の荒波を知らない子供は、直感で物事を見ます。 だから、鋭い! 大人が見過ごすところでも、しっかり疑問を持ちます。 「このおばさんおかしい!」 六歳の女の子がテレビに映った中年女性の話をしばらく聞いてから、指差し、叫びました。 もう10年以上も前のことですが、その女性は霊能者として大活躍中でした。 しかし、それは番組側と用意周到に組んでのヤラセだったんですね。 まもなく化けの皮がはがれてメディアから消えていきました。 今、スピリチュアルばやりで霊魂をもてあそび、他人の運命をいじくりまわすような言い方をしてメディア受けしている人がずいぶんいますね。 この人たちは、不安と安心をお手玉にして迷える人を幻惑しているだけで、責任を持ってものを言っていません。 純粋な子供の心に、その人たちはどんな姿に映っているんでしょうか。 「あのおじさんおかしい!」 きっと鋭い一言が飛ぶことでしょう。 佐賀北高の初優勝は、感動的でしたね。 このチームは前評判が必ずしも高くなかったと思いますが、勝ち上がっていくに従い、力以上のものを出していきました。 すると、ナインに気が満ちていき、観客もその気に吸い寄せられて感動が感動を呼んで、ドラマチックな展開が生まれます。 決勝戦の逆転劇は、こうして起こるべくして起きた、それゆえに、引き寄せられた奇跡の勝利ということになります。 このさわやかさは、子供の心に深くしみこみ、本物の奇跡として映るのです。 きっと人間というのは、自分でも意識できない能力をいっぱい秘めているんでしょうね。 それを引き出せたときが、奇跡、ということになるのだと思います。 熱意、努力、確信、そして、その継続が奇跡を起こすキーワードではないでしょうか 佐賀北高の優勝は、感動を通して多くの子供たちを勇気づけたと思います。