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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.151 2011年1月26日 掲載分
 
トイレの天井から,なあ、楽にせいよ、と元気をいただいているのであります(^O^)/
トイレの天井から,なあ、楽にせいよ、
と元気をいただいているのであります(^O^)/


  ワガハイ、大きいほうの用を足すときは上を振り仰ぐのであります。
すると、天井に貼ってあるこの言葉が亡父の肉声になって
落ちてくるのであります。
亡父は旧国鉄の工事畑の職員で、全国のトンネル工事や、
橋梁工事の現場に長期出張しておったのであります。
ワガハイが中学1年の折、父から初めてワガハイ宛に手紙が
届いて、その中に胡坐をかいた父が背後に前腕を木の太枝に
縛りつけ仁王立ちにさせた羆と写っている写真が同封されて
いたのであります。
ワガハイはその写真に強く衝撃を受けたのであります。
父の左右には猟銃を立て、やはり胡坐をかいた見るからに
ごっつい男たちが居並んでおったのであります。
その年の暮れ、官舎に戻ってきた父は、
「父さんの現場はな。羆がちょいちょい出没するのよ。羆が
出た、という知らせが入ると、現地採用の者はみなうちへ
帰ってしまうのよ。怖いからじゃないぞ。みなうちに猟銃を
取りに行って山へ入る。現場は仕事にならなくなるんだ。
だから、父さんも山へ入ったよ。そして、大物の羆を撃ち取る
ところに遭遇したのよ。お前に見せたくてなあ。写真をとって
もらったのさ」
と、その経緯を話してくれたのであります。
このときの写真が後年、北海道から秋田に舞台は変わりましたが、
直木賞を受賞した「黄色い牙」のモチーフになったのであります。
その「黄色い牙」を執筆最中、父は肺がんで余命3ヶ月と言われた
のであります。
ワガハイは夜は新宿で飲みまくり、朝帰りしてはろくに眠りもせず
机に向かったのであります。
なんとか父の命のあるうちに「黄色い牙」を本にしたいという一念から
でありました。
実を申すと、父がもう長くは存命しないということがなかなか
受け入れられず苦しかったのであります。
ある朝帰り、父が寝巻き姿で庭に出て鉢植えに水をやっていたので
あります。
ワガハイ、背骨が浮き出ているその後ろ姿に胸をつかれ、立ちすくんだ
のであります。
父はワガハイの気配に気づいたのでありましょう。
ゆっくり振り向き、ワガハイを見て相好を崩し、
「なあ、楽にせいよ」
と、一言、声をかけてくれたのであります。
その一声でワガハイの頑なな考えはかわったのであります。
父は主治医の見立てより半年以上も長く生き、単行本になった
「黄色い牙」を寝床で読み終えることができたばかりか、
直木賞の受賞も見届けてから旅立ったのであります。
ワガハイ唯一の親孝行でありました。
ワガハイの元気の元はへこたれそうになったときに、トイレの
天井から降ってくる「なあ、楽にせいよ」という亡父の肉声で
あります。

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