鳩にハッとさせられたことはやがて現実になるか??
事務所から徒歩40秒のところにある網代公園にはいつも数十羽の鳩が群れています。公園に面した歩道に置かれた自転車に、鳩がいっぱいたかっていました。どうやら、荷台の籠に餌があったようです。この公園を根城にしている鳩は餌付けされなれていためか、人間に甘えた馴れ馴れしい態度をとります。こういう鳩を僕は好きになれません.その嫌味な馴れ馴れしさを撮っておこうとケータイカメラを構えたとたん、なにか餌を持っていると勘違いされたのか、自転車から離れ、僕に馴れ馴れしい態度をとりはじめました。シャッターを切ったとき、あることに思い至ってハッとしたのであります。僕がこの街に事務所を構えて23年経ちますが、この間、いつのまにか雀より鳩のほうが多数派になっています。事務所を構えた頃も、網代公園は今ほど数ではなかったものの、鳩が主役でした。でも、鳩以上に雀は数が多く、鳩の間を逃げるように縫いながら、餌を漁っていました。それが今では多数派の鳩の間を少数の雀が鳩に気を遣いながら餌を拾っています。東京の雀がどんどん減っているようですが、これは事務所から半径3キロ以内を広範にオーキングしている僕にはよく実感できる事実です。20年前は歩いていて至るところ、道は、むろん、塀の上、屋根の上、電線などに雀が群れていました。今は歩いていて、あれ、まだ雀が群れているのを見ていないぞ、と気がつくことがあります。瓦屋根の家が少なくなったことに代表されるように、雀が巣作りできる環境の変化が雀の減少の大きな要因としてあげられるようです。でも、これは怖い。日本の人口は予測によると、50年後には8000万人台まで減少するそうです。自業自得のことですが、その背景に生活環境の悪化が大きく横たわっているとしたら、減少という現象は日本民族が滅びに向かいだした前兆と捉えるべきではないか、と危惧するのであります。古来、人間の生活に依存して繁栄してきた雀族の衰退は他人事、いや雀ごとではないのであります。