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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.53

 

カイ君の同類は苦難の道を行く7


  みんな、北海道犬の回りに集まった。
大家が北海道犬の耳許でムニャムニャ話しかけたが、北海道犬はあえぐだけである。
「大分衰弱しているから、この高熱はヤバイな。どうする?」
吾輩は鼻を北海道犬の首筋に近づけ、すぐ離して大家の顔を見た。
北海道犬は、まるで舗装道路の照り返しのような熱気を放っている。
「仙台坂下の十番アニマルクリニックに診てもらうといいのだが、どうやってこの急をあそこの青髭先生に知らせたものか」
大家は小首を傾げた。
人間は猫語を解さぬ。急を知らせても錯乱している猫がぎゃあぎゃあ騒ぎ立てているぐらいにしか受け取ってくれないだろう。
十番アニマルクリニックの青髭先生はこの界隈ではつとに名高い動物医の名医である。
頭はつるつるに剃り、顎髭を山羊のように蓄え、青くカラーリングしているので、一度、見たら忘れられない。
吾輩も風邪を引いたモンちゃんのところに往診にきた青髭先生を見たことがある。
そのときもママチャリに乗ってきたが、よく十番や、元麻布の道をそれで忙しげに走り回っている。
腕は確からしい。大家も去年、肺炎で死にかけたところを、青髭先生に往診してもらい、ことなきを得ている。
トン坊や、ソンギリも往診して貰いたがっているが、美しいモンちゃんや、高齢で大事にされている大家と違って、飼い主が往診を頼んでくれるかどうか疑問である。
「やあ、青髭の奥さんだ!」
フーテンのノラがふだんの地声とは似て似つかぬ甲高い声を張り上げた。
茶髪に染めた長い髪の毛をなびかせながら、背の高い女が参道を上がりきって
こちらへ歩いてくるところだった。
「公園へくるとな、あの奥さん、いつも俺にクッキーをくれるんだ。俺のフアンなんだぜ。俺がここにいるのをどうして知ったんだろう?」
「笑わせるな、ただの偶然だろう。クッキーをくれるのは憐憫の情だろう」
大家が苦笑した。
その間にも、青髭の奥さんはわれわれに近寄り、北海道犬を見下ろして、
「あら、具合悪そうね。それにこの子、うちに2,3度、診察にきているわ。たしか飼い主が、最近、亡くなられた・・・」
青髭の奥さんはつかの間、言葉を切り、
「早く、主人を呼ばなきゃ」
と、呟きながらケータイを取り出した。
吾輩はほっとしながら、この奥さんがどうしてこの寺へやってきたのか、と訝った。
(続く)

志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ KIBA BOOK 志茂田景樹事務所
 
 

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