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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.42

 

問答無用の秋祭り18


  弁天丸はぬーつと会場へ入ってきて、ニャゴニャゴニャ、ニャーゴと鳴いた。
お待たせしました、と言ったつもりらしいが、相変わらず発音が悪い。
弁天丸は熱っぽい目で自分を見ているソンギリに気づくと、とたんにうつむき、目をしばたたいた。
牝に弱い野郎だ、と吾輩は半ばあきれて、チッと舌打ちした。
「ちょっとおいで」
吾輩は右前足で弁天丸を招き寄せた。
「あれ、うちの店の棚に飾ってある招き猫にそっくりだ」
トン坊が口の端をゆがめて微苦笑した。
「そういや、お宅のおばあちゃんのことで、夜通し騒ぎだったようだな?」
大家がトン坊に訊いた。
「ああ、そうだよ。急速に認知症が進んでいる。今朝は徘徊からパトカーに乗って戻ってくるなり、トン坊、おはよう、と声をかけてきたのに、さっき、店の裏ですれちがったときは、おや、あなた、どこの猫、ときやがったからな。まいったまいった」
トン坊は左前足でしきりに前頭部をこすった。
「大変だよなあ。うちの弥次郎の女房も、しょっちゅう心療内科にかかってるもんなあ」
ツキノワがため息まじりに言った。
弥次郎はツキノワの飼い主の焼酎バー「甲突川」のマスターで、その妻の喜多子はうつ病でよく医者通いしている。
「うん、夕方、介護センターの人が養護施設の人を連れてきて、岩堅夫婦と話し込んでいたよ。近々、施設に入るかもしれないな」
「人間とはなんと厄介な生き物なんじゃ。自然に逆らって歴史を築いてきたから、末が不自然に終わる。そこへいくと、われら猫族は自然に生きている。若年での認知症はないし、なる前に寿命がきて自然に還る。人間世界は諸行無常よのう」
大家がしみじみ呟いた。
大家は14歳で、人間で言えば、80から90歳の間だろう。しかし、呆けの兆しすらない、
猫族も長寿になって10数歳生きるのはめずらしくなくなったが、人間に魂を売り渡したぺトミンはともかく、普通の飼い猫、野良猫に認知症は見られない。
「兄貴、なんだよ?」
弁天丸にうながされて、吾輩はトン坊、大家、ツキノワたちの話に耳を傾けるのをやめて弁天丸の耳に自分の口を近づけた。
「ソンギリの気持ちを聞いた。驚いたことに、あんたにぞっこんだってよ。結婚もしたい。あんたの子も作りたいそうだ」
「・・・」
弁天丸は、一瞬、全身を硬直させ、眼球を突出させた。
直後に、2メートルも跳ね上がり、キャーツと叫んだ。
「おいおい、それは猫語の歓声じゃなく、人間の女の悲鳴だよ」
どうも勘違いして猫語を覚える癖のある弁天丸を、吾輩はたしなめた。
(続く)

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