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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.4

 

パティオ広場の夜は更けて3


吾輩の住む元麻布プラトンレジデンスの1号棟とモンブランが住む2号棟は今様の築地塀に囲まれている。
なぜ今様かというと、石垣の上に本来、泥土で突き固める本体部分にピカソ風抽象画が浮き彫りにされているからである。
その上の瓦を葺いた小屋組みに、ところどころ三角、四角、台形、楕円などの小窓が穿たれている。
吾輩や、モンブランにとってこの小窓はありがたい。本体の浮き彫り部分に足をひっかけ、小窓からするりと道へ飛び出せるからである。
話は変わるが、この略称元麻布プラトンで専用の庭を持っているのは1号棟1階に住むわが
夏目家と隣家の島崎家だけである。
南に面して築地塀までの間のそれぞれ40平方メートルほどが両家専用の庭で、それ以外のすべての敷地は元麻布プラトン12世帯が共有している。
専用の庭がある分、両家の分譲価格は、当然、大いに割高だったに違いない。
専用の庭だからといって好きなようにしていいわけでもないらしく、管理自治会との間で原則として分譲時の原型を維持するという取り決めがある。
庭に新たな建物を建てたり、池を作ったりはできぬ。その木陰を吾輩が憩いの場所の一つにしている沙羅双樹の若木は分譲される前に植えられていたからいいが、新たに木を植えることもできぬ。
ただ、芝生の庭を花壇にするぐらいはいいようで、現に島崎家の庭は半ばがバラとアジサイの花壇と化している。
吾輩は島崎家の花壇の花期が過ぎたアジサイが作るひんやりした日陰にモンブランが入った気配を悟って、おもむろにソファを飛び下りた。
「あら、どこに行くの?」
綾が咎めるように声をかける。 ニャニャニャンニャン、ニャニャアニャ〈うるせえな、よけいなお世話だろ〉
吾輩は小声で捨て台詞を吐き、庭へ出る。
島崎家との庭の境の低い垣を飛び越えるときは、少し用心して様子を窺った。
隣家の主の島崎剣村は洋画家だが、ヒステリー性格で、モンブランは許すのに
吾輩は許さず、庭へ入ってくるところを見ようものなら、油彩用のコテを手裏剣にして飛ばしてくる。
むろん、当たれば命にかかわるので義理にも当たってやらぬ。
幸い剣村はアトリエで一心不乱の創作活動のようなので、吾輩は難なく垣を飛び越え、するすると愛称モンちゃんのいるアジサイの日陰に入った。
そこは両側に生えるアジサイの葉が屋根を作り、浅い谷状に地面がへこんでいて日盛りでも風が通ればひんやりとしている。
モンちゃんは2歳の雌猫で、しなやかな体型をおおう白い毛並みはかすかにグレーがかってなんとも言えぬ艶がある、小顔で、金色の瞳をしている。
吾輩はこのモンちゃんを初めて見たとき、四肢に電流が走るような感覚を味わった。
以来、モンちゃんを想うだけで胸がときめく。
モンちゃんは優雅に腹這いになっていたが、浅い谷に入った吾輩に顔を向けたとき、心持ち伏し目になった。
なにかあったな、と吾輩はぴんときた。
「たいへんなことになったの」
モンちゃんは伏し目になったまま、憔悴した声で言った。 

〈続く〉

志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ KIBA BOOK 志茂田景樹事務所
 
 

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