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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.33

 

問答無用の秋祭り9


  吾輩は耳をパシッパシッと振った。
金髪フグが起きだした気配を感じたからである。
ながーい長いあくびをしているようだった。しかし、その後は気配が静まった。
まだ帰宅して2時間ぐらいしか経っていない。寝なおしたに違いない。
河野裕子の短歌を諳んじる沙苦里の声が響きわたる。

たっぷりと真水を抱きてしづもれる

昏き器を近江と言へり


諳んじ終えて、沙苦里は眼鏡の奥の目をぱちぱちさせた。
「綾、この歌を聴いて何か感じないか?」
「何よ、上から目線な言い方をして。私は夏のセミの学生じゃないわ」
綾に一発かまされて、沙苦里はつかの間、鼻じろんで、
「なんだい、その夏のセミというのは?」
と、訊いた。
「あら、言い間違えたわ。夏目ゼミ、あなたのゼミのことよ」
ニャイン、と吾輩は小声で笑った。
綾には多少天然ボケのところがある。
「夏のセミか。僕のゼミは僕が夏のセミのようにやかましく鳴いているだけなのかな。そう言えば、学生から質問が出たためしがない」
沙苦里は自嘲の呟きを発してから、やや厳粛な面持ちになって短歌の解釈を始めた。
「湖面を翳らせた琵琶湖の静謐を歌ったようでいながら、裏の意味にこそ深い味わいと真理がある。秘めた情熱をたたえた女性の器を比喩的に表現した、文字通り傑作だよ、これは」
「あら、そうなの。ふーん、あなたのトンチンカンな深詠みじゃないのね。なるほど、私は諏訪湖が好きだから、近江を諏訪に替えたいわ」
「近江だからこの作品は生きるんだ。琵琶湖から琵琶の調べを連想する。しづもれる昏き器は激しい調べを奏でる器になる」
ぷっ、と綾は吹きだした。
「それじゃAVの世界になってしまうわよ」
吾輩も綾の意見に同調する。
直後に、吾輩はうつむいた。モンちゃんのしづもれる昏き器を想って
急に赤面したのである。
猫も赤面する。ただ顔がびっしり短毛に覆われているため、人間にはそれとわからぬだけである。
そろり、とパジャマ姿の金髪フグが現れた。
〈続く〉

志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ KIBA BOOK 志茂田景樹事務所
 
 

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