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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.31

 

問答無用の秋祭り7


  グスン。
デーブは鼻を鳴らし、その鼻を拳骨でぐにゃっと押しつぶした。
隆鼻術をほどこす前の金髪フグの鼻は低くて、ちょこんと小さかったが、デーブの鼻は低くて面積が大きい。
「そそり立っちゃったんだよ。ええ、ええ、マジかよ、って、俺、あわてたぜ。でも、あれ、鎮まれ、ったって鎮まらないんだよな。猫のお前にはわかんねえだろうけど・・」
なめてたらあかんぜよ、デーブ、と吾輩はやんわりと右前足でテーブルの縁を引っ掻いた。
猫とは言え、不随意筋のなせる業、吾輩もモンちゃんの優雅な仕草に不意にそそり立ったことは再三再四あったことで、デーブのそのときの気持ちがわからないではない。
「ママはな、ママはな。そのとき、あわてふためいて顔を真っ赤にした俺に、いいのよいいのよ、判官ちゃん。これはね、と俺の、そのその、その、その・・・」
その、なんだよ。おちつけよ。吾輩は言いよどんで顔を真っ赤にしているデーブを鼓舞するために、ぴーんと立てた尻尾で椅子の背もたれをぴしゃりと叩いた。
「その、そそり立ったものを握って、判官ちゃんが健康で正常な証拠なの、おちつきなさい、今、ママが鎮静させてあげますからね、と別の手で俺の頭をなでながら、なだめてくれたんだ。ブラームスの「眠れ吾が子よ」を歌いながら、優しく愛撫してくれた。俺、不思議に気持ちが落ち着いて、なんかママの胎内で羊水に浮かんでいるような心地になったんだよ」
フンニャ、と吾輩は思わず興奮して鼻息を荒くした。
「俺、気がついたときには終わっていたんだよ。ママは後の始末をきれいにしてくれて、判官ちゃん、このことはもう忘れなさいね、と言って部屋を出ていったんだ。なあ、拾麿、これってありべからざることじゃないよな?」
一瞬、デーブは真剣な目をして吾輩を見た。
(あんたが自分の手ですることを綾の手が代わってやってくれただけのこと。あまり、考え過ぎるなよ)
吾輩は慰めてやったが、デーブが心に抱えているトラウマは想像していたよりも深い、と痛ましい思いになった。
「その日、学校、休んだんだ。それが不登校の始まりになった。ママはあのことがなかったように振る舞っているけどさ。俺の中からママが消えたことはあれ以来、一度もないんだ。なあ、拾麿よ、俺、親父が憎いんだ。トンカチで頭ぶったたいてやろうなんて思うことはよくあるんだ。だけど、一瞬、思うだけで、そんなこと間違ったってしやしないぜ。
そんなことしたら、この家、破滅だろ。そんなことになったら、ママがどんなに嘆くかわかってるからな。それに・・・」
デーブは吾輩の顔をつかの間、凝視して、
「俺の知性が許さないさ」
と、呟いた。
それから、立ち上がると、お休み、と吾輩に声をかけて通路へ歩いた。
あんな優しいデーブの声は今初めて聞いた。
吾輩は椅子の上で丸くなりながら、あんな告白をする気になったのはデーブの内面に大きな変化が訪れる兆しではないか、とふっと思った。
この数年間、デーブの心でもつれにもつれていたものが柔らかくほぐれ始めているのかもしれない。
そういうことであれば、同慶の至りか、と吾輩は呟きながら眠りに落ちた。
〈続く〉

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