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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.29

 

問答無用の秋祭り5


  リビングはしんと静まり返っていた。
吾輩は寝るべき場所をソファーにするか、それともダイニングテーブルの椅子にするかで、一瞬、迷った。
26度にセットされたエアコンが少し前から作動して、リビングはほどよく冷やされている。
綾は芸が細かいところがあってエアコンの温度調整をマメにやる。
起床の90分前に26度で作動するようセットして眠りにつくのである。
吾輩は腹這いになったときにひんやりした感触がほしくて、ダイニングテーブルの椅子の一つに上がった。
腹這いになりながら、金髪フグに抱かれて帰宅しないでよかった、と思う。
なにしろ、朝帰りするとケータイのメールをチェックしたり、返信したりして
しばらくダイニングテーブルにいるのが常で、その前にエアコンの温度を20度に下げる。
まだ未明の時分に20度にセットされたら、猫の吾輩でもブルブル震えがきてしまう。
限度のわからぬ愚か娘には、ほとほとあきれはてる。
それにしても、今日こそは綾も妊娠の事実などを問いただして確認せざるを得まい。
吾輩はその場に居合わせてぜひともその一部始終を聞かねばならぬ。
当今の人間の若者たちの性風俗を理解するよすがにせねばならぬ。
デーブがすーっとリビングに入ってきた。
よく肥えているわりには足音も立てず、巨大な綿飴の塊のような少年である。
吾輩は寝ぼけたふりをして上体を起こし、薄目を開けてデーブの様子を窺った。
ふわーっとあくびをして、フンニャニャ、フンニャニャと呟いた。
「ばかだな、こいつ、寝ぼけて寝言を言ったぞ。認知症が始まったか」
デーブは独り言を洩らしながら、テーブルに近づいた。
(ばかはどっちだよ、ええ、マザコンのひきこもり坊や)
吾輩は内心で嘲笑を奉った。
テーブルには昨夜、寝る前に沙苦里がやった晩酌の名残りがある。
「小松帯刀」という銘柄の芋焼酎の一升瓶とポット、それに、備前焼風の湯飲みに冷めたお湯割の飲みかけ、おっと、今、デーブが手を伸ばしたつまみを盛った皿も出ている。
むろん、そのつまみは鹿児島牛の霜降り肉を使ったドライタイプの高級キャットフードの「霜降ウルトラSS」である。
デーブは一つ口に入れた。初めてだったのか噛み始めは妙な顔をしていたが、
すぐにこれはいけるぞといった表情になり、せわしく手を働かせて矢継ぎ早に食べ出した。
血は争えぬ、沙苦里と食の好みがぴったり重なる、と吾輩は感心した。
デーブは喉が渇いたのか、飲みかけの冷めたお湯割を一気に飲み干してしまった。
そして、すぐに顔を真っ赤にしたのである。
たちまちにして酔いが回ったらしい。吾輩の向かいの椅子に腰を下ろし、
「ねえ、聞いておくれよ、拾麿よう」
と、涙声で話しかけてきた。
ニャンだい、と吾輩は応じた。
(話は聞くよ。でも、あんた、成人しても酒は飲まないほうがいいよ。すぐにぱっと赤くなったからな。酒に対する肝臓の解毒能力が弱いんだよ。そういうタイプが無理して飲み続けると、ガンとか、いろんな病気になりやすいらしいよ。夏目家は沙苦里も強い。綾もほどほどに強い。金髪フグは二親の血を引いて末はウワバミになりそうだけど、あんたは隔世遺伝かなんか知らんが、酒の素質はないね。だから、大人になっても飲むなよ)
吾輩はぽろぽろ涙をこぼし始めたデーブに憐憫の眼を向けた。
「俺なあ、小学6年までママと一緒に寝てたんだぜ。中学に入ってからも何回かママは俺のベッドで俺を抱きしめて添い寝してくれた。誤解すんなよ。ママは俺という甘えん坊のわが子が可愛くて添い寝してくれていたんだ。ところが、ある日のこと・・・」
デーブは言葉を切って、大きく一息入れた。
猫相手でも、これから話そうとしていることは大変勇気のいる内容らしい。
吾輩は右前足で顔を洗い始めた。
そのほうが話しやすくなるだろう、と思ってのことである。
〈続く〉

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