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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.25

 

問答無用の秋祭り1


  混雑が売りで、初めてきた人の多くはなにがなんだかわからぬうちに人混みに巻き込まれ、なにがなんだかわからぬうちに人混みから押し出され、結局、なにがなんだかよくわからなかったという印象を持つ麻布十番納涼祭りも昨日の日曜日で終わり、いつもの麻布十番に戻った。
吾輩は、この日、午前3時ごろから約1時間かけてわがテリトリーと、ローマ帝国風に言えば吾輩が属領とみなしている地域を見回ってきた。
わがテリトリーも、元麻布グループ直のテリトリーと、同盟グループ麻布十番グループ直のテリトリーに分けられる。
ちなみに、元麻布グループ直のテリトリーは、狸坂のある道から数えて3本目の道を南の境にしていたが、弁天丸がグループ入りしてさらに2本、仙台坂上寄りに広がり、西町インターナショナルスクールに面した道が境になっている。
そうしないと、弁天丸が棲家にしている元屋敷跡はわがテリトリーからははみ出してしまうのである。
見回りには用心棒代わりに弁天丸を連れていった。
直のテリトリーを見回ったあと、仙台坂上の5叉路の交差点に出て仙台坂を下り始めた。
途中でパトカーがゆっくり上がってくるのを見て、弁天丸は、
「やばいぜ。俺はちょっと隠れるぜ」
と、言い残すや否や、さっと左手の小道に飛び込んだ。
吾輩は歩道に立ってパトカーが通り過ぎるのを待った。
ところが、パトカーは吾輩の前で止まり、運転席側の窓が開いて、何度か見たことのある警官が顔を出した。
「やあ、トン坊、夜の散歩かね」
よせよ、と吾輩はそっぽを向いた。
吾輩は黒トラで、トン坊は黒ブチなるぞ。それに、風格が違う。
いくら人間にだってトン坊と一緒にされたくはない。
「おまえんとこのおばあちゃんがな、昨夜の11時過ぎから行方不明なんだ。
徘徊していると思うが、見なかったか?」
いや、というかわりに、吾輩はトン坊の尻切れトンボ的な短い尻尾と違って、すらりと長い尻尾をかざし、強く左右に振った。
むろん、パトカーの警官はただ声をかけただけだから、すぐに走り去った。
「ポソンのばあちゃん、徘徊だって?」
飛び出してきた弁天丸は吾輩と肩を並べながら訊いた。
「そうらしい。昨夜の11時過ぎからいなくなったというから、徘徊にしても長すぎる」
「兄貴、それって徘徊じゃねえかもよ」
「じゃ、なんなんだよ?」
「家出、だと思うな」
「まさか」
吾輩は髭を振ったが、弁天丸の言ったことが的を得ている、と思い直した。
放浪生活を送ってきただけに、今の世の中を見る直感は吾輩より優れているかもしれぬ。
ポソンのおばあちゃんは厄介者視されて気詰まりになり、発作的にすっと家出したとも考えられる。
高齢者が住みづらく、情に竿すら挿せない世の中になっている。
「家出したのを勿怪の幸い、とトン坊の飼い主は放置しておくんじゃねえですかね。
どこかで野垂れ死んでも生きたまんまにしておけば、年金みてえの貰えんでしょ?」
「パトカーが探してるんだ。ポソンのおやじが心配して届けたからだと思うよ」
話しているうちに、仙台坂を下りきり、二の橋に出た。
吾輩と弁天丸は城南薬局の脇の歩道で倒れている人間を見て、同時に足を止めた。

〈続く〉

志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ KIBA BOOK 志茂田景樹事務所
 
 

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