可もなく不可もなくでは不満が残る10 パロディ吾輩は猫である2010 志茂田景樹の隊長のブログ作品集|志茂田景樹のWeb絵本-読み聞かせ劇場|しもだ-かげき|直木賞-児童書-作家

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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.24

 

可もなく不可もなくでは不満が残る10


  吾輩は蘭々の描いた絵を、そして、蘭々が吾輩に話しかけた言葉を振り返り、やはり、と大きくうなずいて、剣村と蘭々の会話に聞き耳を立てる。
「この猫女人は可愛げがある。今の世の中は憎めないお化けが受ける。裸婦シリーズをはるかにしのぐ人気シリーズになる。よし、早速、猫女人シリーズに着手した、とあちこちに知らせよう」
「あんまり描く前の注文をとらないで。のんびり描きたいんだから」
「わかってる。絵のサイズを12号、15号、大きくても30号までにしたのも、蘭々、きみの負担を軽くするためなんだからな」
剣村は話し続ける。
。「今、どこの公募展を覗いても100号、200号の絵がやたら目立つ。下手で才能のないやつに限って大作を描きたがるんだ乏しい才を迫力で補おうとしている。姑息な考えだ。ほんとうの名画は小さいのに多い。ヨハネス・フェルメールの(ミルクを注ぐ女)だって、42×37センチだ。それより、蘭々、アトリエの冷房が利いている。このくそ暑い炎天下でわざわざお絵描きする理由はないだろう。それに、他人に絵を見られたらヤバイだろう」
「暑いときは暑いように描くの。それが自然でしょう」
「わかんないこと言うなよ」
「もう一つの目を描き入れたらアトリエに入るわ」
「そうしてくれよ。そうだ、ツイッターで猫女人のことをつぶやこう」
剣村はサンダルを引きずる音を残して離れていった。
「ねえ、拾麿さん」
モンちゃんが右前足を招き猫のように上げて言った。
「蘭々が剣村になりすまして絵を描いているわけ?」
「そういうことだね。蘭々はゴーストをやっていることになる」
「兄貴、ゴーストってなんだ?」
弁天丸が目玉をぐりっとむいて訊いた」
「人間社会の悪しき風習だよ。文章の書けるやつが下手なやつの代筆をして本を出すんだ。芸能人や、政治家が執筆したという本の8割か9割はゴ−ストライターが書いているらしいな。しかし、絵のゴーストライターはめずらしいぞ」
「兄貴は何でも知ってるな。俺なんか人間に飼わせてやったことがねえからよ、学はつかねえまんまよ」
「卑下することはないぞ、弁天丸よ。人間がそれぞれに持っている知識の90パーセントはその人間が生きるのに必要ないものよ。われわれは知識とか知恵はシンプルに身につけてシンプルに生きている。それに勝る生き方はないんだ」
「ついでに訊くけどよ。ツイッターってなんだ?」
「今、高齢者や、子供もやり始めたらしいが、簡易ブログのことで、140字以内で呟けば登録者でフォロワーのタイムラインに瞬時で表示されるんだ。フォロワーはフォローしてくれた人。つまり、読者といった意味づけができる。ついでながら、ツイートはさえずるの意の英語だよ。ツイッターはさえずり、もしくはさえずる人、さえずる機器と訳せるだろう」
「拾麿さんは物識りね。いつ大家さんが逝っても安心ね」
「今頃、大家さん、くしゃみをしているぞ。まだあの生き字引には生きていて貰わないとこっちが困る」
吾輩はモンちゃんの表情と声が晴れやかなものになっているのに気づいて、内心で大いに喜んだ。
弁天丸の恋の相談に乗ったり、剣村の絵の秘密を知って気が大きく紛れた結果らしい。
「大学の先生のところで暮らしていりゃ、俺でも物識りになるさ」
「弁天丸の言う通りだ。吾輩の知識の99・9パーセントは吾輩が生きていくうえで何の役にも立たぬ」
「それにしても、人間てのは呟くのが好きだよな。俺を見ると、ぎょっとする人間が多いけんど、兄貴や、モンちゃんを見ると、よく呟くだろう?」
「話しかけるという体裁をとっているが、人間はわれわれが人語を解するとは夢にも思っていないはずだから、あれは呟きなんだ。ツイッターが流行るのも無理はないか。さて・・」
吾輩は腰を上げた。
モンちゃんが欝を脱したらしい様子に一安心できたし、我が家に戻って昼寝をするつもりだった。
「可もなく不可もなくでは不満が残る」
吾輩は意味不明の呟きを残してアジサイのトンネルを出た

〈続く〉

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