「平成ようかい九十九夜ものがたり」4 ヤマンバールの竹やぶ 志茂田景樹の隊長のブログ作品集|志茂田景樹のWeb絵本-読み聞かせ劇場|しもだ-かげき|直木賞-児童書-作家

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志茂田景樹の隊長のブログ作品集

 

「平成ようかい九十九夜ものがたり」4


ヤマンバールの竹やぶ

志茂田景樹


イサムが学校にかよう道にその竹やぶはあります。

その朝、イサムはいつもより早くうちを出ました。 寝不足で、その目はまっかでした。

竹やぶの前に、きれいなおねえさんが立っていました。

背がすらりと高く、着ているものがカラフルで、イサムは思わず立ちどまりした。

(おめめがまっかよ。どうしたの?)

(ともだちがあした、アメリカへ行っちゃうんだよ。むこうで心臓の手術をうけるんだ)。

イサムのともだちは遠くの大学病院に入院していますが、アメリカでとてもすぐれた手術をうけることになりました。

イサムはその前にぜひあってはげましたかったのですが、あえないままきょうになってしまいました。

(あわせてあげるわ)

(ほんと!)

イサムは目をかがやかせましたが、あらためておねえさんを見てあやしみました。

まだ20歳ぐらいなのに髪の毛がまっしろなのです。

(わたしはヤマンバールというようかいよ。でも、わるさはしないから心配しないでいいよ)

(ヤマンバなら聞いたことがあるけど)

(むかしのようかいね。だいぶ前に999歳で死んだわ。わたしはまだ7歳よ)

(えーっ、ぼくより若いんだ)

(おいで)

竹やぶのなかに、ちいさなひろばがありました。

(ねえ、たてものではなにがすき?)

(東京タワー)

(じゃ、見てて)

ヤマンバールは、からだをまっすぐにして両手をひろげて、

(ヤマンヤマン、ヤマンバール)

と、となえました。

すると、その長くてまっしろい髪の毛がサワサワと音を立ててゆれ、さかだっていきました。

(えー、ほんとかよ)

まっしろな髪の毛のすべてが、真上へするするのびていきます。

そして、からみあい、くみあってみるみるうちに東京タワーを作っていきました。

(スゲー)

ヤマンバールの頭で、すばらしくたくみにできた東京タワーがしろくかがやいていました。

(10分、ここで待っていてね。おともだちをその病室ごと、ここへはこんでくるからね)

東京タワーがどんどんほどけていって、まっしろい髪の毛はさらにのびながら、ヤマンバールをつつんでいきました。

イサムがあっけにとられているうちに、大きなまゆができあがりました。

(おともだちとその大学病院の名を教えて?)

イサムが教えると、まゆはふわりとうきあがり、スーイとななめに空をかけあがりました。

イサムがまたたきしているうちに、まゆは見えなくなりました。

まるで、光のようでした。

10分後、ヤマンバールは髪の毛を長く長くなびかせてもどってきました。

その髪の毛の先に、まっしろい大きなまゆがついていました。

髪の毛がシューッシューッとちぢんでいって、まゆはふわりとひろばにおりました。

そのまゆもほどけていって、長方形の病室があらわれました。

(さあ、あってあげて。時間はあまりないよ)

イサムはドアをあけて病室へ入りました。

ベッドで、ともだちのユウトは眠っていました。

(ユウト)

声をかけると、ユウトはパチッと目をけ、

(イサムじゃないか。見舞いにきてくれたんだ!)

と、さけびました。

(でも、あまり時間がないんだ。手術、成功をいのっているよ)

(ありがとう。バリバリ動ける体になってもどってくるからね)

(待ってるよ。元気になったらプロレスごっこしような)

(よーし、負けないぞ。あー、ねむくなった)

ユウトは、あくびをしてねむってしまいました。

イサムが外へ出ると、ヤマンバールは、ウインクをして、

(もとどおりにしてくるね。学校におくれるから、もう行きな)

と、言いました。

ヤマンバールは髪の毛をのばして病室をつつみはじめました。

イサムは竹やぶを出たところで、空を見あげました。

しろいまゆが光のようなはやさで東の空をとびさっていきました。

(ヤマンヤマン、ヤマンバール)

イサムは呪文をとなえて見おくりました。

(おしまい)

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