可もなく不可もなくでは不満が残る5 パロディ吾輩は猫である2010 志茂田景樹の隊長のブログ作品集|志茂田景樹のWeb絵本-読み聞かせ劇場|しもだ-かげき|直木賞-児童書-作家

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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.19

 

可もなく不可もなくでは不満が残る5


  ついさっき、沙苦里が頻尿対策の逆立ちをしていた床で、綾がヨガ風の柔軟体操をしている。
沙苦里は大蛇川とオハマを連れて、納涼祭り見物に出かけた。
人出のみ突出し、コンセプトのない祭りだと酷評している割には、祭りが最高潮を迎えるのに、ここに座していて可もなく不可もなくでは不満が残る、と意味不明な呟きを発し、浴衣に着替えてのお出かけである。
それはともかく、綾の体はぐにゃぐにゃとよく曲がる。
まるでプレスをかけたのかと思えるほど、上体と下体を折って合わせ、次の瞬間には後ろへ反り返り、腰を上げ、逆V字形を作る。
綾の逆さの顔が笑い、
「拾麿ちゃん」
と、猫なで声で呼んだ。
ニャンニャヤ、と吾輩は面倒くさそうに応える。
「あなたもヨガ体操をやってみる?」
ニャニャーン、と吾輩は言下に断った。
猫に柔軟体操をやれ、では洒落にもならぬ。
吾輩はそっぽを向いたが、ちゃんと横目で綾の肢体の変化は観察し続けた。
よく曲がるだけではなく、綾の体は45歳という年齢の割には溌剌としている。
特に乳房は弾力があって、ぷるんぷるん揺れる。
レギンスの上に、タンクトップを着ているが、乳房の谷間の陰りがよく見える。
それに、先ほどから右の肩にかかっていた紐がずれ落ち、右の乳房は丸出しになっている。
綾に限ったことではないが、人間は猫の前では羞恥心を忘れる。
それにしても、と吾輩は小さくため息をついた。
われわれ猫族の牝にも乳はあるが、子を産み、授乳期間中は多少肥大しても、それ以外はいたってつつましくしている。
人間の女は授乳もせぬのに、なぜいつも大きいのだろう。男が歓ぶ玩具になっておるのよ、と以前、大家が言ったが、吾輩には進化しそこねた結果にしか見えぬ。
あんな肉の塊、役に立つどころか邪魔になることのほうが多いだろうに。
例えば、大地震で倒壊した家の下敷きになったとき、乳房が邪魔して隙間から這い出ることができずに命を落とすことだってなきにしもあらずだろう。
神は人間に文化を与えたが、その代償として体の進化を止めたのかも知れぬ。
チャイムが鳴る。
綾はすくっと立ち上がり、ずれ落ちていたタンクトップの紐を右肩にかけた。
応対に出て、訪問者と二言三言交わして、招じ入れた訪問者を連れてリビングに戻った。
「お宅のご主人、うちの宿六とお祭りへ出かけたわよ」
「会ったわよ。うちのすぐそばの道の屋台でビールを飲んでいたわ。あれ、誰? 色の薄い黒人がコーヒーを立ち飲みし、日本語で何かまくしたてていたわ」
「主人の大学の院生で、オハマ君、下戸だけど、日本の歌がとてもうまいわ」
「190センチ以上あるわね。150センチちょいの主人とならんだら凸凹も極まるわ」
あははははは、と訪問者は男のような声で笑った。
  大蛇川富士の妻小竹で、身長180センチで筋肉質の体をしている。
  元バレーボール選手で、大酒飲みである。
  綾の10歳も年下だが、互いに気が合ってよく飲みに出かける。
  「はい、これ。あべちゃんの焼き豚」
  「あら、待たされて混んで大変だったでしょ。よし、ここで飲もうか。人混みの十番に飲みに行きたくないわ」
  「それがいいわ。今日は飲むぞ!」
  小竹は聖火ランナーのように、右手を突き上げた。
  吾輩は立ち上がり、床に下りた。
  吾輩は酒類の匂いが嫌いである。
  それに、島崎家の庭のアジサイの谷に、モンちゃんが入った気配がある。
  「ねえ、沙乃ちゃんのことだけど、昨日の明け方、パティオ広場でゲエゲエ吐いていたわよ。そばに、男の子がいたけど、ちょっと気になったの」
  「飲みすぎたんでしょう、たまに朝帰りするわ」
  「食べたものを吐いていなかったわ。あれはつわりだと思うの」
  「えっ」
  綾はつかの間、息を呑んだが、吾輩もつわりと聞いてはこのまま出かけるわけにもいかぬ。
  踝を返してソファーに戻った。

〈続く〉

志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ KIBA BOOK 志茂田景樹事務所
 
 

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