パティオ広場の夜は更けて パロディ吾輩は猫である2010 志茂田景樹の隊長のブログ作品集|志茂田景樹のWeb絵本-読み聞かせ劇場|しもだ-かげき|直木賞-児童書-作家

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志茂田景樹の隊長のブログ作品集 No.1

 

パティオ広場の夜は更けて


吾輩は猫である。
名は拾麿。3歳で、京都は烏丸の陰陽公家砂御門家の納戸に生まれた。
砂御門家57代当主の華朋によれば、初代公朋の飼い猫鬼麿から数えて418代目にあたり、その猫系図も伝わっているらしい。
しかし、418代前の鬼麿が吾輩の先祖だといういかなる科学的根拠もない。
ただ鮮明に覚えていることがあって、それは生後2ヶ月のみぎり、わが生家に今の飼い主夏目沙苦里の妻綾が迎えにきてからほぼ半日の出来事である。
吾輩は絹の布にくるまれ、お女中頭の手で綾に下げ渡された。
あとで知ったことだが、綾の亡き曾祖母は砂御門家に奉公していたとのことで、その縁が今も続いて、夏目家はともかく、綾の実家は砂御門家に盆暮れの挨拶は欠かさないという。
それはともかく、綾は吾輩をおしいただいて持参の手提げバスケットに絹の布ごと恭しく入れた。
そのあと、すぐに吾輩は生家を離れ、なにか速いものに乗せられ、さらに速いものに乗せられて東京に運ばれたのである。
速いものがタクシーで、さらに速いものが新幹線ののぞみだったことは、やはり、あとで知ったことである。
のぞみに乗ってまもなくのことだったが、耳がツーンと鳴ってとても不快になった。
しかし、子どもながら、我慢せねばならぬ、と自分に言い聞かせ、かなり長いこと辛抱したものである。
しかし、いよいよもって我慢できなくなり、絹の布越しに手提げバスケットをガリガリ引っ掻いた。
手提げバスケットの蓋が開けられ、吾輩は綾の手に抱き上げられた。
そして、窓の外の雄大で、雅な景観に目をパチクリした。

「拾麿卿、とくとご覧あそばせ。あの山が世界一秀麗な富士山でございますよ」
吾輩はわが名が拾麿であることを初めて知り、これから貰われていく家では吾輩を公家猫として立てるらしいと悟り、感無量になった。
しかし、あっという間に秀峰富士が後方に消えるとともに、綾の次なる言葉に愕然とした。
「拾麿卿、今はまだ曾祖母時代の主家のお身内として扱わせていただきますが、東京駅に着くまででございますよ。それからはわが家の飼い猫拾麿になります。さあ、検札がくるとなにか言われるかもしれません。お隠れなさいませ」
綾はいささか乱暴な扱いで吾輩を手提げバスケットに押し込んだ。

〈続く〉

志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ KIBA BOOK 志茂田景樹事務所
 
 

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