【私は前科者である】を書いた直木賞受賞作家(受賞作は別作品)をご存知だろうか。志豊かに社会の底辺を彷徨う自分を描いている。

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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.369 2015年6月21日 掲載分
 

【私は前科者である】を書いた直木賞受賞作家(受賞作は別作品)をご存知だろうか。志豊かに社会の底辺を彷徨う自分を描いている。

父は娯楽雑誌、娯楽本は殆ど読まない堅物だった。
例外のような感じで小説新潮だけは購読していた。
その頃、中学1年だった僕は、
父が捨てた小説新潮を拾って密かに読み耽った。
船橋聖一の芸者小夏シリーズや、
石坂洋次郎の石中先生行状記に胸をときめかせた。
しかし、本当にドキドキしながら読み耽ったのは、
橘外男という人が書いた「私は前科者である」だった。
当時の中学生ならタイトルだけで後ろめたい気持ちに襲われ、
読むのが憚れたろう。
面白い、とにかく面白かった。
今と比べたら雲泥の差で社会が前科者に冷たかった
1910年代という時代に、
前科者の主人公は、
社会の吹き溜まりのような職場を転々としながら生きていく。
中学生の僕にとってすべてが斬新で、未知で、
意表を突かれる世界、舞台の連続だった。
主人公は悪戦苦闘するが、闊達な筆致で笑いも誘われ、
同情したり、懲りないなあ、と呆れさせられたこともある。
暗さがない、というか、
暗いことも伸びやかに描いているから、
中学生の僕ですら、好きに生きている、
と羨ましく思うことも多かったのかもしれない。
後年、父に盗み読みしたことを告げると、
「あれは作品の出来はともかく、志の豊かな作品だ」
と、頷いた。
橘外男の自叙伝的作品で、
闊達自在な筆致のたまものもあって、
読後に心地よい余韻が残るので、
父は褒めたのだろう。
実際の橘外男は父が陸軍大佐で厳格だったが、
何不自由ない家庭に生まれている。
旧制中学時代は恐喝を常習していたらしい。
社会に出て業務上横領罪で実刑判決を受け、
1年、刑務所にいた。
犯歴はそれだけで、凶悪犯罪を犯したわけではない。
当時は犯歴があると知ったら、
どこの出版社も本を出してくれなかったろう。
昭和13年、彼は「ナリン殿下への回想」で第7回直木賞を受賞したが、
純然たる空想の産物で、
インドのどこかの王子の数奇な運命を描いている。
饒舌体の短編で、ナリン殿下からは痛快なまでの悲哀が滲む。
橘外男が【私は前科者である】を書きだしたのは戦後で、
彼の心を縛っていたしがらみがなくなったのだろう。
発表当時の評は、特異な体験に寄りかかり、
通俗に流れ過ぎている、
というものが多かったと記憶している。
でも、小説新潮の連載小説として読んだ僕にとっては、
「ナリン殿下への回想」を数倍上回る傑作である。
図書館等で探して、ぜひ、読んでみてほしい。

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